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アハメドくんのいのちのリレー ~殺された息子の臓器を敵の子供に提供するということ~

先日、イスラエルのテルアビブで、パレスチナ人2人による銃乱射事件が起き、イスラエル人4人が亡くなった。 

5月にユニセフが発表した報告書によると、2015年10月以降の衝突により、パレスチナ人204人、イスラエル人28人が死亡している。

いつまで続くのだろう、このような争いが。こうしてまた、憎しみが連鎖する。

ハメドくんのいのちのリレーという本

この本に出てくるアハメドくんは、パレスチナ自治区、ジェニン難民キャンプで暮らす12歳の少年である。ラマダン(断食月)明けのお祭りの朝、一張羅のスーツを着て友達の家で行われるパーティーへ向かう途中、イスラエルの狙撃兵によって頭を撃たれた。

イスラエルの病院へ運ばれたが、脳死という診断だった。アハメドくんのお父さんはそこで主治医から臓器移植の提案を受ける。臓器を提供する側は、移植相手を選べない。それは、パレスチナ人かもしれないが、イスラエル人かもしれないということだった。

  

アハメドくんの いのちのリレー

アハメドくんの いのちのリレー

 

 

この本の著者である鎌田實氏は、新聞で小さな記事を読んで以来ずっと会いたいと思っていたそうだ。 そう、敵の子供を救うために、殺された息子の臓器を提供すると決めたお父さんに。そして、絵本にしたい、その絵本が「きっかけ」になることを願って。

 

イスラエルが建国され、その地に住んでいた多くのパレスチナ人は土地を追われ難民となった。もし、自分が、家族が同じことになったらどうだろう。生まれ育った思い出の地を後にするのは耐え難い悔しさに違いない。

アフマドくんのお父さんも、そのまたお父さんから家の鍵を託された。いつか帰ると鍵をかけて出てきた家の。お父さんは、どんな思いで過ごしていたのだろう。

その間もイスラエルパレスチナの争いは続いた。憎しみがさらに憎しみを生む。そしてまた繰り返される。

そこへ、自分の大切な息子が殺された。お父さんはその息子の臓器を殺した側の子供のために提供すると決めたのだ。その決断はどれだけ苦しいことだったのか、勇気のいることだったのか。私は涙なくして、この本を読むことができなかった。 

このことがきっかけで、人々の凍りついた心が少しずつ解かされていくのだろうと、読みながら思っていた。そう思っていたのだ。ただ、読み進めるうちに、私の勝手な想像とは反する部分もあることを知り衝撃を受けた。そこには、まだまだ深い闇があるのだということを。それでも、これ以上の憎しみを積もらせないことの「きっかけ」となることを願わずにはいられない。

 

アハメドくんの いのちのリレー

この本は絵本ではあるものの、大人に読んでほしい絵本だと思った。世界中の人に読んでもらえるように英訳も書かれてある。

 

パレスチナイスラエルに関する本 

パレスチナイスラエルの関係について何冊か読んだ中で、よかったと思う本も合わせて紹介したいと思う。

歴史の背景や、関係国なども要点を簡潔にわかりやすい表現や言葉で書かれていて、とても読みやすかった。