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工事中のくせに来訪者を唸らせる日光東照宮と三仏堂

日光東照宮が現在、平成の大修理中ということはご存知だろうか。平成9年から始まった工事は平成36年まで予定されている。すでに唐門正面や透塀などの修理は終わり、ついに平成25年から陽明門も修理に入った。三仏堂でも50年に1度の大修理が今まさに行われているのである。ちなみに陽明門とは、東照宮と言えばこれ、と言わんばかりに写真で紹介されることが多い国宝の門である。

 

”なんだ、工事中か。違うところへ出かけよう”と思ったあなた、ちょっと待った!今だからこそ見ておくべき日光を紹介しよう。

 

三仏堂の素屋根がすごい!

 

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日光開山、勝道上人之像を見上げた先に、目に入ってきたのが何やら巨大な箱型の建物。その壁には三仏堂が描かれている。そう、三仏堂をすっぽりとこの中に閉じ込めてしまったのだ。そんなわけで、現在三仏堂の全体像は描かれたものでしか見ることができない。が、がっかりするのはまだ早い。この覆い(素屋根)をよく見ると、上の方に窓が並んでいるのが見える。ビルの7階に相当する高さに天空回廊が作られており、修理の現場を上から目線で腕を組みながら眺めることができるのだ。そして普段下から眺めているだけではわからない三仏堂の大きさを感じ取ることもできるのである。

 

さっそく行ってみよう。

 

日の目を見た風神・雷神

 

もともと東照宮の陽明門に安置されていた東照大権現の守護神、風神・雷神。しかし、明治4年、政府によって神仏分離令が発令され、風神・雷神は仏式の像であるとの判断から、大猷院二天門の、なんと裏側へ移されてしまったのである。東照宮は家康公を神格化した東照大権現を祀った神社であり、大猷院は三代将軍家光公を祀ったお寺だったからだ。その後、146年という歳月をひっそりと地味に祀られてきた。大きな二天門は、少し小ぶりな風神・雷神に比べスペースが広く、なんとなく居心地が悪かったのではなかろうか。本来、陽明門で祀られるはずの由緒あるご尊像が今、特別公開という名の下で再び脚光を浴びている。

 

徳川家康公四〇〇年御遠忌記念として、2015年4月22日~2016年11月30日まで、三仏堂にて特別公開。

 

仏様もなすがまま

 

三仏堂内へ入って行くと、そこには鎮座する千手観音が。もちろん、仮の居場所だ。

”実際の像は千本の手はなく、42本である”というようなお寺の方の説明を聞きながら、ゆっくり眺めさせていただいていると、”普段は離れた場所からしか拝めないのだが、修理中につき間近で拝む事ができるのだ”と、近くまで導いてくれる。さすがである。これだけで、今日来た甲斐があったと思わせられるのだ。皆、恐れ多くも真剣な面持ちで手を合わせている。

 

このあと、衝撃的な場面を目撃することになる。なんと、斜め後方に横たわっているではないか。両腕がなく、”なすがまま”といった感じの阿弥陀如来が。手術の、いや、修復の真最中なのである。こんな姿を見てしまっていいのだろうかと戸惑ってしまうほどだ。ただ、この姿に少し親近感を覚えた。そして、もう見ることはできないであろう貴重な現場をお見せいただいたことに感謝したい。などと、思っていたのも束の間、またしてもお寺の方に8体の仏様のもとへ導かれたのである。

 

干支でわかる、あなたの仏様

 

ところで、あなたを守ってくれる仏様が干支ごとに決まっているのをご存知だろうか。

干支は12なのだが、仏様は8。そしてこの守護8仏すべてが、ここ三仏堂内に鎮座されている。大きさは、先ほどの千手観音の大仏さまに比べるとかなり小さい。どの干支がどの守護仏なのか、というお話を聞いた。そのあとだ、自分の守護仏の前へ移動するようお寺の方に導かれたのは。

”これでは年齢が計算されてしまうではないか!いや、待てよ。もしかして一回り若く見られるかもしれない。ま、まさか、一回り年に見られているのか!”

くだらない事が頭の中をぐるぐる巡っている間に、その干支の仏様がどのような守護仏なのかという説明が始められていた。

皆、真剣に聞き入っている。なるほどなと、心に響いたころ、またしてもお寺の方に導かれるのだ。そこには、お守りが並んでいる。毎年返納する必要のない、一生もののお守りということらしい。さすがだ。財布から出した2枚の千円札と引きかえに、お守りを受取ったのは言うまでもない。

 

あなたの守護仏はどの仏様か。

*千手観音菩薩(せんじゅかんのんぼさつ) 子(ね)

*虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ) 丑(うし)・寅(とら)

*文殊菩薩(もんじゅぼさつ) 卯(う)

*普賢菩薩(ふげんぼさつ) 辰(たつ)・巳(み)

*勢至菩薩(せいしぼさつ) 午(うま)

*大日如来(だいにちにょらい) 申(さる)・未(ひつじ)

*不動明王(ふどうみょうおう) 酉(とり)

*阿弥陀如来(あいだにょらい) 戌(いぬ)・亥(い)

 

バラバラになった三仏堂

 いよいよ、7階天空回廊へ上る。ひたすら階段だ。上からの眺めを楽しんでいいのは、この長い階段を上り切った者だけだ!各階に着くたび、ドアのガラス越しに中の様子が見える。木材が見える。だいたいどの階でも木材が見える。もうすでに三仏堂の姿はない。バラバラの木材と化しているのである。これをまた新しいものにひとつ、ひとつ組み立てていくのであろう。元の姿にするには大変なことだと頭の中で木材を組み立ててみるが、所詮素人には想像すら難しいことに気がついた。そうこうしているうちに、ついに、天空回廊へ辿り着く。天空回廊、誰が付けたのだろう、この名前を。まるで楽園、とっておきの場所へ来たような気分になる。現場を覗き込む。三仏堂の大きさを感じる。外を眺める。いい景色だ!ふと窓枠のあたりに目がいくと、そこには無数のてんとう虫がいるではないか。どこから来たのだろうか。赤に黒い紋の、ナナホシに違いない。そう、ここ天空回廊はてんとう虫の楽園であった。

 

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平成23年から始まり、10年間の新名所ということなので、平成32年まで続くのであろう。徐々に出来上がっていく姿も見てみたいものだ。

 

次は東照宮へ行ってみよう。

 

ナメてはいけない、東照宮

 

入場券を購入する際、“今は工事中で陽明門が見られません”とお知らせしてくれる。ここまで来て見られないからといって、諦めて帰る人はそうそういないだろう。

そんな残念なお知らせとともに手にした東照宮への「切符」を握り締め、前へと進んだ。陽明門が見られない、それはきっと録画しておいたWOWOW海外ドラマが、いいところで途切れていたときのような気分に違いない、そう思った。

しかしその思いはすぐにかき消されることとなる。もちろん、事前にネットやガイドブックで写真は見ていた。個々の建物が豪華絢爛ということも十分に承知していたにもかかわらずだ。実際にその場所で、華やかな建物に囲まれてみるのでは全然違うのである。別世界へ来たように思えた。陽明門が見られなくても、これだけ素晴らしいものがあれば満足だ。私は東照宮をナメていた。ひとつひとつじっくり見ていると、時間だけが消化されていく。

 

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ビフォーアフターを見てみよう

 

前期工事で唐門、その左右の塀(透塀)の修復はすでに終了している。写真でご覧いただいている通り、色鮮やかになったそれはシャッターを押す手を止めさせてはくれなかった。今回、透塀は正面のみの修復だったのか、角を曲がった横側の塀は修復以前のままであることに気がついた。と言っても、気がついたのは一緒に行った私の友人だ。

でかした!の一言を贈りたい。

そのため、ビフォーアフターを楽しむことができたのである。

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217年ぶりに姿を現した鶴の親子

 

陽明門西側に描かれていた鶴の親子が217年ぶりに登場した。赤が印象的なこの絵は、217年もの間、誰も見ることができなかったのである。今回の修復作業が終了すると再び封印されてしまう。この公開は大変貴重だ。50年後の大修理で姿を見せるのかは不明だが、あなたご自身の姿があるかどうかは、ご自分で計算していただきたい。ちなみに私は確率が低そうだ。 

 

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今回の旅、ここ日光では素晴らしいものの数々を見た。そして大いに唸った。すでにお気づきかとは思うが私は少々感情が豊か(おおげさ)ということは否めない。だが、迷っているあなたの背中を押すことができれば幸いだ。

決して日光の回し者ではない。

 

 

 

 

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tokiwoirodoru.hatenablog.com

 

 

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